元 ち ゃ ん の 山 紀 行

突  坂  山 (1,503.7㍍)
平成12年05月15日



 宇奈月駅に着いて、トロッコ電車の始発時刻が8時17分と知って愕然とする。雪のせいなのか昨年と比べて30分以上遅い。  昨年同様、黒薙温泉駅から、軌道上を歩いていいかと尋ねると、「ダメだ。」とはねつけられた。また、「笹平駅」降車も関係者以外は「ダメ。」の回答だった。しかし、諦めず粘り強く駅員と交渉の結果、7時32分発の作業員用(工事関係者)のトロッコ電車に乗り、「ホームはないけれど、安全を確認して降りよ。」になった。早く行けるし、パノラマ車の特別料金なるものも払わなくてもいいし、相棒の「春夫君」とハッピー、ハッピーの連発!

  作業員をいっぱい乗せ、一寸狭苦しい感じの車両だったが、出稼ぎの方々なのか、聞きなれない訛りのおじさんやおばさん達と一時の会話も楽しんだ。
 笹平駅8時到着。昨年は、作業道の取付きが分からず、何時間も道なき道をさ迷い歩き、挙句の果てに出平方面に彷徨してしまった苦い経験がある。しかし、下山時にその作業道を確認するに至っており今回は自信があった。

 その鉄塔順守の作業道の取付きこそ分かりづらいが、着実に鉄塔と送電線を頼りにしっかりした道を歩けばよい。1番目と2番目の鉄塔は真下を通り、後の2本は道から横目でやり過ごし、五本目の鉄塔で、出平方面に向かう水平道を捨てる。
 笹平駅で合わせた高度計が830㍍を指している。一寸狂いを感じるが、コンパスで方向を確認して(東方向)ヤブに突入である。ところどころに雪のなごりがあるが、まだ頼りになる雪ではない。広い尾根の高い所を選んで進む。咲き乱れているイワウチワを、踏んで行かなければならない所もあり心が痛んだ。何時のものか分からないが目印のテープが残っており、結構頼りになる。

 一寸怪しいが、832㍍と記してある赤い布を発見。(私の高度計は900㍍。9時52分。)ネマガリダケや何だか分からない木々や枝を掻き分けながら、きつい斜面を登って行く。こうなると、ストック、ピッケル、三脚が絡んで登りにくい。「帰りはひどいな!」と言いながら、10時過ぎ休憩する。 なおもルートを選びながら、時々現れるテープも頼りにし急登だ。10時45分(1140㍍)でやっと雪を掴まえる。11時、僧ヶ岳、駒ヶ岳が見える1220㍍で休憩。11時27分(私の高度計1300㍍、春夫君の高度計1270㍍、もしかしたら、ここは、1230㍍か!)緩やかになる。広い尾根が益々広くなる。ガスが掛かると分からなくなる心配があり目印を付ける。そのまばらなブナ林の間をぬけて頂上に着いた。

 何処が頂上か分からないほどだが、東側が一寸高いように思われ、「東西に20㍍、幅2メートルほどの頂上=とやま山歩き」に、基づき頂上と認めた。
 南側に目をやると、木々の間からは、期待していた剱岳がその山容とは、分からないくらいにかすんで見えた。
 毛勝の山々や、駒、僧ヶ岳も、それなりに立派だが、展望となると今一つで、これも期待していたものと少し違っていた。  北側には、同じ黒部の山々の「瘤杉山」「猪頭山」その右側にある山が、春夫君と意見を異にし、青年期のように熱く語り合った。「初雪山か犬ヶ岳または、定倉山!」………今でもわからない。
 そしてどっしりした朝日岳は言うまでもない。黒部の山に執着した今回の山行を熟知した思いで語り合い、山座同定、記念写真撮影などであっと言う間に1時間半の時が過ぎてしまった。広い尾根の下りの不安やトロッコ電車の最終時刻を気にしながら、14時に山頂を後にした。
  雪上の下りは、快適そのものだが、やはり心配した通り、ガスが掛かり何度も消えた足跡や目印を探した。また、雪の下になっていた木の枝が突然起き上がったり、踏み抜いて木々の間の空間にはまり込んだりしながら、作業道に出た頃から雨になってしまった。下山時楽しみにしていたワラビ採りも程々にして、笹平駅に向かった。

 《コースタイム》

高岡5:35→宇奈月(7:00~32)→笹平(8:00~15)→第一鉄塔8:32→第二鉄塔(8:52~9:02)→
水平道分岐(9:27~37)→832㍍の赤布9:52→休憩(標高980㍍)10:03→
標高1140㍍.雪を掴まえる10:45→標高1220㍍.駒.僧ヶ岳が見える(11:00~12)→
標高1300㍍11:27→突坂山頂上(12:30~14:00)→832㍍の赤い布15:10→水平道(15:25~30)→第二鉄塔15:50→〔ワラビ採り〕→笹平(16:50~1700)→宇奈月(17:20~50)高岡

  《同行者》
     中山春夫君