元  ち  ゃ  ん  の  山  紀  行
経 ヶ 岳 (1,625.2㍍)
<福井県 大野市 、勝山市>
平成13年10月08日




経ヶ岳登山口

 北陸の降水確率が60~80%で、あまりいい状況ではなかったが、福井県の大野市、勝山市、和泉村、石川県の白峰村の予想降水量は、時折、1㍉の予想があるだけで、殆どの時間的雨量が0㍉で、警報や注意報も発令されていない事から、決行する事にした。
 テレビやラジオの天気予報を、頼りにしていた頃と違い、PCのお天気情報は、何時でも詳しく知る事が出来とても便利である。

 一時間早立ちすれば、高速を使わなくてもいい。早朝ならば、福井まで2時間~2時間半程みておけば、充分であろうと8号線を走るうちに、前々から議論をしていた、松任から鶴来、白峰、勝山への道を選んでしまった。これが功を奏して、飛ばさなくても、予定より早く勝山に着く事が出来た。勝山から大野も、いい道を快適に走行する事が出来、問題は、大野市内から158号線を和泉、白鳥方面に向けて走る頃からで、「六呂師高原」への案内板が、いたる所に出て来るからであった。

保月山 1272.8㍍保月山で杓子岳で松尾氏と杓子岳から中岳の縦走路

 事前に福井県の方が開いているHPを参考にしていたが、悩んだ事も二件あった。一つは、JAのスーパーとガソリンスタンドが、左右反対だった事と、二つ目は、「暫く行くと」の表現で、暫くにしては、2㌔以上の長い道程であった事だった。この二件の事で何度も行ったり来たりを繰返し、また、早朝の散歩をいていた方々に、何度となく目標物を尋ねてしまった。
 しかし、家に帰って地図を見直すと、そんなに分かりずらい道ではなかったように思った。「蕨生」の交差点から、すぐにある押しボタン信号を過ぎ、次の信号機のない、六呂師高原への案内板ある交差点を左折し、やがて、右に越美北線の下唯野駅を見て、踏切を渡る。
 前方に高原の白い建物を見ながら、2㌔程進み右折し、また2~3㌔程進み登りきったあたりの右手に、「広域林道法恩寺線」があり、その未舗装の林道に入る。

松尾氏と「山ノ神」(中岳で)中岳付近から経ヶ岳リンドウ

 途中、右手に「経ヶ岳登山口」の簡単な標識があり、枝分かれする林道には鍵が掛けられていた。「唐谷コース」だと思われる、その標識を無視して標高900㍍位まで上がると、大きく開けて、大野市内が一望出来るところに休憩所あり、ベンチやテーブルが置いてある。晴れ渡ってはいないが、遥か遠方から来た我々が、一番乗りで新鮮な「福井の山」の空気を、胸にいっぱい吸い込んでのスタートとなる。
 我々の車に横付けしたのは、反対方向の林道から、上がってきた福井の松尾氏である。私と年格好が似ていて、身体が軽そうで山の事なら何でも知っているように見えた。4~5分見舗装の林道を我々が来た林道と反対方向に歩くと、やや消えかけて見にくかったが、「経ヶ岳登山口」の標柱と「熊注意」!の看板があり、又近くにアンテナのような構築物が建っている。
頂上までもう少し

 登り掛けはチョット岩混じりの急登かと思ったが、"富山の山はこんなもんじゃない。何せ海から山が近いから、せりあがっていてとても急!" ブナ林の中を歩くと、何故かホッとする。故郷から離れても、親戚にでも来たような気がするのかもしれない。
 25分程歩いたら、寄り添っている二本の樹木があり、「アダムとイブ」の看板が付いていた。とってつけたような名で、あまりいただけない気がしたが、これも現代なのかもしれない。
 登山口から10分もしないうちに追いついて来た松尾氏が、"ガイドブック通り25分です。"と一緒に一息ついた。この後頂上まで同氏が同行してくれる事になる。コツコツ汗も流さず登っていくと三角点があり、小さく開けた1272.8㍍の保月山である。もうこの時点で雲が切れて行き、今日は雨が降らないと確信した。前方にピークが見える。「経ヶ岳」ではない。「杓子岳」か「中岳」なのか、地図を持参しなかった私には分からない。

臨時の三人パーティ経ヶ岳頂上でミニ宴会経ヶ岳頂上で山頂を振り返る牛岩付近の岩場

 杓子岳へは、一旦下り、登り返すと大きな岩(牛岩)があり、その岩の右側を抜けて、手作りの梯子を登り、急な林の中を通り過ぎれば、杓子岳山頂に出た。南に薄っすらと日本百名山の「荒島岳」が、北には、これから向かう「中岳」が、そして、やや右奥に、今日の目的地「経ヶ岳」が大きく開けて来た。
 その奥は、分からないながらも、「赤兎山」か「白山」か? また戻って南東には「野伏山」?かと、我々だけで騒いでいた。杓子岳には、何処かの山岳会が、取り付けていったと思える「釈氏ヶ岳」の標識がある。只の遊び心の標識なのか、それとも意味があっての事なのか、それとも何かの拘りなのかは計り知れない。 こんもりした中岳へは、大きく迫って来る経ヶ岳を眺めながら、低いクマザサの風衝草原を快適に歩く。 中岳(1467㍍)から下ると、「切窓」と言われる小さな鞍部に出る。
手作りの梯子

切窓は、先の林道の途中にあった、登山口から通じている唐谷コースと合流する。切窓から頂上までは、あと30~40分程の急登であるが、振り返ると中岳、杓子岳への山並みが穏やかで美しい。
 何時もなら休憩をせがむ「山ノ神」だが、今日は、松尾氏と行動を共にしている事もあって、結構我慢をして足を運んでいるようである。
 汗をタオルで拭って、大きな段差を越えようと足を出した途端、前方20~30㍍のササが風もないのに揺れた。
 サラサラと言う感じで動いたと思った途端、黒い物体がやや緩やかな右斜面を駆け降りた。「熊だ!」と誰もが叫んだ!もう一頭が現れたと思ったら、同じ所へ消えていったが、心穏やかでなく、松尾氏がラジオを、私がホイッスルを出し、もしかしてUターンをして来たらと思い、我等流の熊への対処をした。

 今日の経ヶ岳山行の先陣を切っていた我等三人は、鈴を付けていたのが功を奏したのか、喋りながらの登高が、熊避けになったのか分からないが、肝を冷やしたのは間違いない。熊との遭遇からいっぺんに、「山ノ神」のペースが乱れてしまい、何度も何度も立ち止まっては、名残のリンドウに顔を寄せては、秋の深まりを感じ取っていた……………でも、本当は息が上がってどうしようもなかったらしい!やっとの事で辿り着いた山頂は広く、霞んだままだが360度の展望台である。
七尾の美人三人組と「山ノ神」

 ともあれ、まずは、何時の如く乾杯!3時間の道中を一緒に過ごした松尾氏と山談義をしている間に、後続の登山者が上がってきて賑やかになった。男性ばかりのパーティ、女性ばかりのパーティ、夫婦組、また単独行などさまざま。やがて、北峰から法恩寺山方面の縦走に出掛けると言う松尾氏が出発して行った。

 隣に居合わせた、石川県七尾市から来たと言う超美人三人組に、いろいろな食べ物の差し入れを受けて、また感激!そしてまた、悪い癖がでて(山ノ神談)、喋り過ぎてしまった。あっと言う間に時が過ぎ、"弁ヶ滝の林道に降りたら、車に戻るまで、9㌔の林道歩きをしなければいけない" と言っていた松尾氏に、 "こちらに時間があれば、迎えに行ってあげるよ!" と言った手前 "間に合うかな~。" リックを担ぎ直し、三人組に心を残しながら、山ノ神と山頂をあとにした。
 下山途中またしても、「蛇がいた!」と慌てふためいていた「山ノ神」今日は熊と蛇に泣いていた。松尾氏の約束を果し、彼の誘導の元に帰路は、「スキージャム勝山」の中を通って、勝山市郊外に出、白峰経由で家路を急いだ。



★★★コースタイム★★★

高岡3:25=白峰4:55=勝山5:25=大野=駐車場(6:35~55)=登山口7:00=アダム&イブ7:25=保月山(7:47~8:00)=牛岩8:15=杓子岳(8:33~50)=中岳(9:05~18)=切窓9:18=経ヶ岳頂上(9:47~11:40)=切窓(12:0~305)=中岳(12:22~28)=杓子岳12:42=保月山13:23=アダム&イブ13:36=登山口着14:00==(縦走路、法恩寺山を下山する松尾氏を、弁ヶ滝方面へサポートするのに林道往復)==登山口発14:40=スキージャム勝山=勝山=白峰=鶴来=松任=金沢=高岡18:45

★☆★同行者★☆★
      比佐恵